
橘海月
@amaretto319
2025年8月2日
嘘と隣人
芦沢央
読み終わった
#ミステリ
毎回皮肉と毒と優しさが、絶妙な塩梅で散りばめられてるのが筆者の特徴だが、この作品は特に皮肉の切れ味が鋭いのと、連作短編集ならではの味わいがよい。元刑事の平良は、知人の相談を受けて謎の解決に乗り出すが…。後味悪い結末か多いものの、謎も人物も魅力的で一気読み。
表題作「嘘と隣人」SNSの身近さと怖さが濃縮されている。実在の弁護士が監修につき話題となった漫画「所詮他人事ですから」でもそうだったが、アンチはごく親しい人の場合も多い。
「祭り」は平良が引越し業者のやりとりから、技能実習生の事件に思いを馳せる。矛盾した制度に振り回される彼らの「どうせ◯◯だから…」が実際そうとしか思えず、苦しかった。
「最善」痴漢に間違えられた夫を助けたい妻の依頼で渋々状況を調べるも、意外な結末となる話。ただ、序盤からなんとなく感じる平良の気の進まなさや、夫の過去のエピソードから、じわじわと抱く違和感が徐々に結実する様が下手なホラーより怖い。いる、いるよなこういう人。知的で冷静で、かつ誰よりも冷徹な。願わくば一生近寄りたくない人。