
amy
@note_1581
2025年3月9日

斜陽改版
太宰治
かつて読んだ
感想
『斜陽』戦後に日本国憲法ができて華族制度のという特権階級を保持するしくみが廃止され、その後没落していく貴族の話
なんか国から”あなたたちは華族です”とされて、それがアイデンティティだったものが国によって”今日からあなたたちは華族ではななくなります”とされて、もちろん平等という点からすれば特権階級がなくなることは当然のことでもあるのだけれど、突如アイデンティティを奪われて生活していく手立ても自分たちで掴み取るのは、相当に不安定というか寄る辺ないものではないのかなあと思った
ちょうど朝ドラ「虎に翼」で主人公の学友に華族のお嬢様がいて、戦争を挟んだ話でもあるから作中で彼女は華族という立場を失うんだけれど、彼女はそれで身分から解放されたけれど、華族という制度に馴染みがよかったタイプの人間は直治のようにコンプレックスを抱えてしまいながらも、華族制度の亡霊からは逃れられないのかなあと思った
直治とかず子の違いというのは、男女の違いによるものだけではないようにも思う
直治は理想の自分であれないなら生きていきたくないというような人間なのだけど、私はその気持ちがすごくわかる
時代になじまない美学を持つと、生きていくことは苦行でしかないのだ
