
咲
@lunar_mare
1900年1月1日
音楽
三島由紀夫
三島由紀夫
「先生、どうしてなんでしょう。私、音楽がきこえないんです」
美しく冷たい訴え。冷感症の女。嘘つきで、思わせぶりで、酷薄で、可哀想な女。
精神分析の言葉や思想は、三島由紀夫を介して美しい不感症の女として実体化すると、こんなにも生き生きと美しく人間を語るのか。
学問として眺めてきた人間精神の神話が、夢の象徴と分析が、転移と逆転移が、言葉の装飾できらきらと飾られ、誘惑的に輝いていた。
『オンガクオコル オンガクタユルコトナシ』
永遠に咲く造花のように、豪奢な言葉で作った物語が美しい。
「麗子はただそのいかにも燃えやすい材料ばかりでできたような美しい豊かな裸体を、彼の傍らに横たえているだけだった。花井の不能は次第に燃えさかる不能になった。麗子は、融けるほど心優しかったが、肉体は氷のようだった」
