
榛原
@haibara
2025年12月31日
ミトンとふびん
吉本ばなな
読み終わった
2025年65冊目。大切な誰かを亡くしたふつうの人たちの短編集。読み納めに相応しい一冊でした。
著者の恋愛にまつわる主人公の描き方のワンパターン(めっちゃカッコいい/女に人気のある男に求められる私)さに古さを感じ恥ずかしくなってしまうのだが、それを除けば無駄のない文章というものを久々に読んで、純文学に平伏の気持ち。
表題作の新婚夫婦が、そのたった二人さが、なぜか風景としてすごく心に残っている。
こんな言い方バカみたいだけど、改めて本当に文章がうまい。で、それが「凄み」になっていないところが、すごい。
大切な人を亡くす物語のハイライトを、慟哭などの涙にもってくる作品がとても多い中、この作品集ではどれも、何度も何度も涙を滲ませ、落とし、声を上げ、泣き笑い、涙を流すことを特別視していない。本当はそういうことなのに、作品となると映画の予告に切り取られるみたいに、津波のような、いわばハレの泣き方を描きがちだ。しかし本作は、涙の出るタイミングが自然でリアルで、泣いてばかりいる事がふつうで、同じように死も、特別ではなく自然で強い哀しみで、乗り越えていってしまう事もまた自然なのだというところが、よかった。
あと装丁がめちゃかわいい。