
カランコエ
@forget_me_better
2025年12月31日

波〔新訳版〕
ヴァージニア・ウルフ
かつて読んだ
逃げ水のように遠く遠くへ伸びていく6つのひとりごとを追うなかで、自分の弱さを受けとめる強さ、なるものがあるのだと知った本だった。
誰ともかぶらない自分だけの「私」を探さなくちゃと、みんなが自信なさげに自身を観察している。外見はどうだろう、使うことばはどうしようか、ものの見方は。そうやって自分らしさを切りつめていく先にはいつも、お互いに対する及ばなさがある。幻滅がある。敬遠がある。強がりだってある。
でも、どんな気持ちもひとつひとつ丁寧にいいあらわされるこの独白のなかでなら、「私たちは認めあえない」という弱さを胸に刻むことで、私たちは一歩近づくことができると信じられる。
浅瀬に沈んでいる貝殻が、光と水の揺らぎをとおして、ふたつにもみっつにも、ひとつにもふたつにも見えたことを思い出した。