
碧衣
@aoi-honmimi
2026年1月1日

海
小川洋子
読み終わった
かつて読んだ
恋人の実家への挨拶、体の大きな「小さな弟」だけが奏でられる鳴鱗琴。最初に読んだ頃はただ穏やかな話だと思っていたけど、読み返すとあちらこちらに不穏な気配が紛れ込んでいることに気づく。しかし、それに気づいたからと言って何かが変化することがないのを私は知っている。
二作目の「風薫るウィーンの旅六日間」のシュールさに変な笑いが出そうになりながらも厳粛な気持ちになり、「バタフライ和文タイプ事務所」の活字管理人は今の時代ならどこにいるのだろうと考えたりする。
「ひよこトラック」の言葉を話さない少女と孤独な老齢なホテルのドアマンとの言葉のないやり取りや、「ガイド」の少年と思い出に題名を付ける題名屋の老人との交流。一見、穏やかで微笑ましくも見えるこれらの物語の中にも毒は紛れ込んでいるのだろうか。


