橘海月 "正体" 2025年12月13日

橘海月
橘海月
@amaretto319
2025年12月13日
正体
正体
染井為人
読み応えがあるが、長さを感じさせない巧みな文章だった。 一家三人を殺害し、死刑判決が下された当時未成年の犯人が脱獄した。彼は名を変え顔を変え、全国を逃亡しながらも、ある目的のために動いていた…。脱獄囚の鏑木が行く先々で出会う人達とのやりとりが微笑ましく、だからこそ結末はやるせない。誰かの人となりは行動にこそ如実に現れるのだと感じた。 日雇いばかりの下請け建設現場、低価格の在宅ライター、交通が不便な山奥の旅館、装置のパン工場…。免許や身分証明書がなくとも働ける職場はどんどん減っている現代でも、そういった場所でしか働けない人は確かに存在していて。目立ちたくないはずの鏑木が、彼らが経営者の食い物にならないようつい助けてしまう姿に心打たれる。謎が解明されてから再び読み返すと、鏑木の行動がまた違って見えてくるのではないか。
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