橘海月 "リバー" 2024年2月18日

橘海月
橘海月
@amaretto319
2024年2月18日
リバー
リバー
奥田英朗
600ページ越えの分厚さも、まったく気にならない臨場感。群馬と栃木で発生した連続殺人事件、それは10年前渡良瀬川で遺体が放置された事件と手口が酷似していた…。現役と退官した刑事、被害者の父、駆け出しの記者、スナックのママ、6人の視点が交互に絡み合い事件の真相に迫る。 語り手が変わる度に事件への温度差も変化するが、何より10年前の被害者の父である松岡の章が辛い。犯人は捕まらず娘のプライバシーは扇情的に報道され、そして忘れ去られる。地道に独自で犯人を追い、再び殺人犯が現れ手掛かりを掴んだと思うも、執拗に警察に連絡を取るあまりクレーマー扱いされる。 しかし松岡の執念や無茶な追跡が、じわじわと犯人を追い詰めてゆく。それでも若い刑事や記者にとって、度重なる松岡からの連絡は紛れもなく仕事の妨害であり迷惑であるのも事実で、それが辛い。それは退官した滝本も同様で、10年前取り調べた池田への執念に周囲は感心しつつも呆れている。彼等は孤独だ。 ミステリ的醍醐味は、10年前逮捕された池田、引き篭もりの健太郎、期間工の刈谷と容疑者が浮かび上がり、誰が犯人かを推理しながら読んでいると、ラストで全員が犯人もしくは事件に関わってると明かされるところだ。犯人が一人とは限らない、ある意味裏をかかれる展開。
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved