
おかめ
@okame
2026年1月1日

たゆたえども沈まず
原田マハ
かつて読んだ
何度も読み返してる
この著書は五十を超える文献をもとに、多くの協力のなかで生まれた史実に基づくフィクションです。
けれど私には、史実以上に人の心のやさしさや誠実さを描いた物語のように感じられます。
この本に出会う少し前、私は「ヘレーネ・クレラーコレクション」のゴッホ展を観に行っていました。その余韻のなかで読み進めるうちに、私は自然と「理解者」という言葉を思うようになりました。
マハさんは別の著書で「アートは友達」と書いています。その言葉を思い出しながら、私はヘレーネとマハさんの二人を、ゴッホの理解者なのだと感じました。
ゴッホはしばしば「狂気の画家」と語られがちですが、私はそのたび、少し寂しくなります。絵よりも苦悩ばかりが先に語らられてしまうことが、どこか悲しいのです。
だからこそ、この本に描かれる人々ーーテオへの手紙を書く林忠正、作品を集めるヘレーネ、そしてそれを物語にしたマハさんーーそうした人たちが、ゴッホのそばに「理解しようとする存在」としていることが、私はとても嬉しかった。
とりわけ、林忠正の手紙にある「在らん限りの友情を込めて」という一文は、読むたびに私の心をそっと整えてくれます。いまでは、それが私の静かなよりどころのひとつです。

