
カミーノアン
@kaminoan3699
2026年1月1日
爆弾
呉勝浩
読み終わった
『爆弾』で最も印象に残ったのは、九尾の狐のゲームで公園の爆破を警察が見破れず、スズキが勝ち誇る場面だった。言葉と論理だけで人命を弄ぶ姿に、彼を映画『ジョーカー』のような、社会の歪みそのものを体現する存在として見てしまったのだと思う。だからこそ、類家の登場以降、事件が次々に整理されていくにつれ、スズキが「対処可能な犯人」に縮んでいくことに正直がっかりした。また、彼がなぜあれほど狡猾な知能を持ち得たのかが語られない点にも消化不良を覚えた。ただその物足りなさは、悪を怪物として描くことへの期待と、現実では混沌が秩序に回収されてしまうという冷たさを、同時に突きつけられた感覚だった。
