
咲
@lunar_mare
1900年1月1日
MAZE新装版
恩田陸
恩田陸
恩田陸の幻想世界は、地下から空まで根気よく丁寧に構築されているので、安心してその世界に入り込み、不安になれる。
微睡んで頭を飛ばしながら読むのが気持ち良い。
「深い青、それは、見上げているうちに魂まで抜かれてしまいそうな空の色だ。
遥かな高みから見下ろしている誰かの存在を意識する、ほとんど狂気に近い歓喜の色。
そこにあるのは、直方体をした白っぽい建物だった。
丘のてっぺんに白い箱がちょこんと載っているように見える。
窓も柱もない、のっぺりとした白い箱」
導入の情景描写に連れ去られる。
青と白の眩しさと不穏。
人間が消える。
「じゃあ、正式に要請しましょう。
あんたは、この人里離れた山奥の聖地で、安楽椅子探偵をやるために呼ばれたの。
これでよろしいかしら?」
わくわくする。面白い。
神原恵弥が魅力的だ。
「ジェンダーなんて相対的なものよね。
女きょうだいが多いと、中で必ず誰かが男役を引き受けるようになる。
男である、女であるというアイデンティティなんて曖昧なものだわ。
みんな男と女という割り振られた役を演じてるだけ」
艶やかな女言葉を使いこなす、精悍な男。
この男の続編「クレオパトラの夢」を読むためにこの本を手に取った。
本懐を果たそう。