カスミ
@blauebibliothek
2026年1月1日
そこに工場があるかぎり
小川洋子
読み終わった
著者が町の工場を訪ねるエッセイだが、そこに描かれているのは工場そのものというより、働く人の手つきや、その場に流れる時間。
小川洋子の文章は、対象を美化しない代わりに、決して軽んじない。職人の指先や動作の一つひとつに、長い時間の積み重なりを感じ取ろうとする姿勢が伝わってくる。著名な小説家でありながら、書くことで相手の上に立つことはなく、ただ同じ場所に立って見ている。その距離感が心地よかった。
何かを「すごい」と言わなくても、敬意は伝えられるのだと教えられた一冊。