
euy
@euy
2026年1月2日
羊をめぐる冒険(下)
村上春樹
ちょっと開いた
読むたびに発見がある。
「どうしてずっと名前をつけてあげなかったの?」
「どうしてかな?」と僕は言った。そして羊の紋章入りのライターで煙草に火を点けた。
「きっと名前というものが好きじゃないんだろうね。僕は僕で、君は君で、我々は我々で、彼らは彼らで、それでいいんじゃないかって気がするんだ」
「ふうん」と彼女は言った。「でも、我々ってことばは好きよ。なんだか氷河時代みたいな雰囲気がしない?」
「氷河時代?」
「たとえば、我々は南に移るべし、とか、我々はマンモスを獲るべし、とかね」
「なるほど」と僕は言った。


