羊をめぐる冒険(下)

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- individual@individual2025年5月11日読み終わった@ カフェ主人公は別荘にたどりついてから、いろいろな手がかりを見つけます。作者は主人公の「手がかり」の発見を、さりげなく演出しています。作者は、以上の装置(「手がかり」の発見)が作動していることを示唆するために、別荘で主人公に『シャーロックホームズの冒険』を意図的に読ませています。 余談になりますが、僕は先日『シャーロックホームズの冒険』(角川文庫)を読み、ホームズの示した、論理的推論の能力を堪能しました。この「論理的推論の能力」は、ドストエフスキーの『白痴』の主人公・ムイシュキン公爵が示した、「他者の表情を読み取る能力」とは、発現の仕方が違うと思います。(ちなみに「他者の表情を読み取る能力」を、ディックはテレパス(読心能力者)として変奏し、作中に登場させています)。 「他者の表情を読み取る能力」は、おそらく心の病気(ムイシュキンは癲癇でした)を発症して、そのあと寛解したときに、発現する方が一定数いると思います。「論理的推論の能力」の発現の仕方は、僕にはうまくわかりません。しかし過去に、「論理的推論の能力」が高い方と出会ったことはあります。その方は、発達に偏りがある方でした。 『羊をめぐる冒険』で登場した「羊男」は、『海辺のカフカ』に登場した「カーネルサンダース」と、役回りが似ていると思います。彼らをどのように解釈できるのかは、もう少し考えてから、感想に綴りたいと思っています。