橘海月 "教室が、ひとりになるまで" 2023年7月10日

橘海月
橘海月
@amaretto319
2023年7月10日
教室が、ひとりになるまで
クラスの生徒が次々に自殺し、不登校も生じる二年A組。主人公垣内にある日不思議な手紙が届き、それをきっかけに自殺した三人が誰かに殺されたのではと疑問を抱いた彼は、密かに犯人を探すが…。不穏で苦しい展開だが微かな希望を託す結末が救いだった。 特殊能力が存在する世界とミステリは、一見相性悪そうで意外とそうでもない。西澤保彦の作品や『リピート』然り。推理の設定に幅が出るだけで、主人公が万能になるわけでもなく超人になれるわけでもない。地道に捜査をするしかなく、そうすると狭い校内で犯人にも気づかれ…というジレンマがとにかく上手い。 自殺に見せかけ生徒を殺した犯人を追う本筋と、そこに見え隠れする垣内の日常から読者が「あれ?」となる違和感が巧妙。帰宅部でクラスに思い入れのなさそうな彼がどうして犯人探しにだけは必死なのか?の裏筋が見えた時に、本当の意味でそうか、これか!となる。どちら側かで印象が全く異なるのでは? 特に、主人公と序盤から協力し、一緒に犯人探しをしていた人物の描かれ方が一番上手いなと思った。その人自身は何も変わらずぶれないままなのに、こちらの感情がガラッと変わってしまうのだ。私も主人公に近い感覚だったからその人物への嫌悪感が凄く、同時に作者の掌で踊らされてるなと思った。お見事。
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved