
橘海月
@amaretto319
2023年5月21日
六人の嘘つきな大学生
浅倉秋成
読み終わった
#ミステリ
就職活動も佳境を迎え、人気企業の最終選考に残った6人。期限は一月後、チームで協力すれば全員内定もあり得るとされ、一丸で頑張ろうと結束し仲が深まる彼らの元に「残念ながら採用は一人のみとなりました。最終選考は皆さんで決めてもらいます」と連絡がきて…。
最終選考は「六人の中で誰が最も内定に相応しいか」をグループディスカッション。だがそこに置かれた謎の封筒により、好青年だと思われた六人の過去が次々と暴露されて…。彼らの誰が犯人かは無論、誰が最終的に内定を勝ち取るかもミステリとなっている。就活への疑問も常々思っていただけに納得だった。
冒頭である人物が言った「月は表側しか見せてないんだよね」「月の裏側ってどんなふうなんだろう」と呼応する最終選考で明かされる彼らの裏の顔。でもそれすらもまたある一部分では?と二転三転する。SNSで炎上するとガラッと掌返しされる今に通じる苦いシーン。私も作者のしかけにまんまと騙された。
私自身は彼らのような切実な就職活動はしていない。だが同級生に「どうしてこの人が内定をとれないのか?こんなに優秀で成績は無論、人格も素晴らしいのに?」と思うケースはあって。企業への不信感と、自信に満ち溢れていた彼らが、お祈りされる度にボロボロになってゆく姿へのやり切れなさは強く感じた。
