橘海月 "琥珀の夏" 2023年4月16日

橘海月
橘海月
@amaretto319
2023年4月16日
琥珀の夏
琥珀の夏
辻村深月
一見すると「子供達が自然豊かな環境で伸び伸びと自主的に過ごせる学び舎」と「山奥でカルトに親と引き離された窮屈な暮らし」がとても近しく紙一重なのが恐しい。ましてや選択肢のない幼少期だったら、それが普通としかならないのも。完全な悪も善もないグラデーションが巧妙。 上記の対比は、幼いノリコが「夏の一週間だけ過ごす特別な場所」なのが、ミカにとっては「一年に一度しか親と会えずに、子供と一部の大人と限られた環境での閉塞的な場所」でしかなく、かつ両方とも「嫌なだけじゃなく、楽しさや得られたものも多かった」という複雑な想いを抱えているのがポイント。 それにしても、辻村深月が描く母娘の葛藤や親子関係は「ひょっとして作者自身の体験なのでは?」と毎回思わせるくらい解像度が高い。「ゼロ・ハチ・ゼロ・ナナ」の時もそう感じた。リアルどころではないリアルがある。そこが苦しくて、でもよくわかって惹きつけられてしまう。私もそうだったから。
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