橘海月 "百貨の魔法" 2023年4月6日

橘海月
橘海月
@amaretto319
2023年4月6日
百貨の魔法
百貨の魔法
村山早紀
架空の街の星野百貨店が舞台で、そこで働く人達の物語を綴るうちに、印象的な彼女の謎と背景が徐々に明かされる。古くこぢんまりとした百貨店、私にとって長崎のアーケードにあった大丸百貨店がそれだった。時計の入口に屋上の小さな遊園地。懐かしく思い出した。 戦後の商店街にできた創業50年の百貨店。古くなり経営は傾き先は長くないと正直従業員ですら感じている。だからだろうか、終わりの予感をひしひしと感じるからこそ何気ない日常が、当たり前に売場があってそこにやって来るお客がいて、そんな状況がすごく輝かしく映る。思い出の積み重ねという宝物。 「百貨店にいる願い事を何でも一つだけ叶えてくれる猫」の伝説がいいアクセントとなっていると同時に、様々な人が願いを思い浮かべる時に「自分の努力で叶えられることではなく、魔法でないと叶わないことを願う」のが面白いなと思った。他の人の幸せや偶然の再会を、思い出の場所の存続を願うのが。
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