
橘海月
@amaretto319
2023年3月16日
おやすみラフマニノフ
中山七里
読み終わった
#ミステリ
岬洋介シリーズ第二弾。音大でヴァイオリンを学ぶ苦学生の晶。同期には学長の孫娘初音もいて、恵まれた彼女と自身の境遇の差を感じている。四回生となり仕送りが途絶え、前期の学費を払えない中、奨学生へのチャンスとなる定期演奏会選考会が開催されて…。
著者が中山七里で前作『さよならドビュッシー』を踏まえ、早い段階では「これは絶対語り手の“ボク”が男性と見せかけて実は女性のパターン!だから名前も晶にしたんだ!」と鼻息荒く読み進めたら、何のことはないあっさり彼の表記が登場して撃沈した。ただ、主要となる謎と、主人公の謎は当てられて満足。
それにしても、これだけ音楽を表現して、かつヴァイオリンなど楽器をやったことのない読者すら揺さぶる筆力は見事。ミステリ部分がなくとも充分楽しめる。音大生に突きつけられた、音楽で生きてゆく過酷さとそれでも弾かずにはいられない性というべきもの、才能と努力とそれだけではない何か。圧巻だった。