
橘海月
@amaretto319
2022年11月28日
流浪の月
凪良ゆう
読み終わった
#揺さぶられる
読んでいる間ずっと、水がひたひた染み入るような、明け方の消えかけた月を眺めるような、そんな静かで暖かな感覚だった。風変わりな両親との幸せな日々を失った9歳の更紗が見つけた居場所。誘拐犯とされてしまう文とのわずかな、でもかけがえのない時間。心に沁みる物語。
読みながら、吉野朔実『恋愛的瞬間』に収録されている「螺旋に住む」や、あるいは角田光代『八日目の蝉』に通ずるものがあるなと思っていた。誰にも理解されずとも、決して口にできなくとも、確かにその時の私は幸せだったのだと自分だけが知っている。
読み進める読者も、主人公と共犯者のような感覚に陥る。私は知ってるのにと。それが歯痒い。