橘海月 "肉体のジェンダーを笑うな" 2021年11月6日

橘海月
橘海月
@amaretto319
2021年11月6日
肉体のジェンダーを笑うな
三つの中編「父乳の夢」「キラキラPMS(または波乗り太郎)」は男性視点からの意識の変化に、共感できるようなできないような、でも気持ちはわからなくもない絶妙なバランス。特に母乳ならぬ父乳が出る主人公の心境の変化はとてもリアルだった。 妊娠出産を経験することのない父親が「育児」と向き合った時に、最初はミルクも立派な育児だと思っていたはずなのに、自身に父乳が出る状況になると「ミルクを足さず父乳だけでやれたら」と思い「卒乳したくない」と一人キッチンで泣く。知らず知らず価値を置いてしまう、その気持ちがよくわかる。 一方「笑顔と筋肉ロボット」は、筋肉が少ないひ弱な女性として生きている私として身につまされる内容だった。誰かに手伝ってもらえる側は、ずっと「ありがとう」を言い続けなければならない。高い所の物を取ってもらうより椅子を使えば、そもそも高い所に置かなければ…の流れは何度も感じたことがある パートナーが好青年なのも歯痒さに拍車がかかる。彼は好意で「あたりまえ」としてやってくれるのだ。瓶の蓋を開けるのも、重い水を運ぶのも、全て。自分でできたらと思うのは贅沢なのか?負担じゃないのなら任せきりでいいのか?主人公の表情まで手にとるように浮かんできた。
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