
zelkova
@zelkova
2026年1月2日
不思議な羅針盤
梨木香歩
読み終わった
梨木さんの作品は植物や鳥などの生き物がたくさん出てくるところが好き。このエッセイも、生き物の細かいところまで観察していたり、それらを見て感じたことを人に置き換えて生き方などを考えたりしているのがおもしろい。クリスマス・ローズを「彼女」と言ったりするものの、過度な擬人化をするわけではない距離感もいい。
社会全体が排他的になることや、自己犠牲を強いる風潮、非常時の名のもとに一律に同じ価値観を要求され、その人がその人らしくあることが許されない社会を批判する記述もあり、大いに共感したのだけれど、このエッセイが連載されていたのは2007〜2009年。2015年7月の文庫版あとがきでは「以前にも増して国の先行きに危機感を感じる世の中になってきた」と書かれていて、今はさらに…と思うと暗澹たる気持ちになるけれど、「それでも怯みながらも手探りしていれば、食べられるどんぐりを見つけることがあるかも知れない」と思っていよう。






