
橘海月
@amaretto319
2018年9月28日
64(ロクヨン) 上
横山秀夫
読み終わった
#ミステリ
本を読む前に見た映画の予告の印象が強く、予想よりも淡々と動きがない展開や、事件よりも警察内部のゴタゴタばかりにやや助長を感じていただけに、あの瞬間ガツンときた。やられた。執念、まさにそうとしか言いようのない。ああこれを描きたかったのだと理解した。なんという執念、なんという苦しさ。
上に蚊帳の外扱いされ、情報を操作しなければならない立場なのにずっと情報を得られない主人公。そのもやもやとした霧が読者にもあって。この本は何を書きたいのか、話はどこへ向かおうとしているのかがさっぱりわからずに、ずっともやもやしていた。だからこそ、主人公と同時に霧が晴れ生まれるカタルシス。
全てのページ、全ての文章に満足を詰め込むように物語を紡ぐ作家もいれば、一点集中、その瞬間のためだけにコツコツと城を構築してゆく作家もいるのだな。どこかで決着はつくだろうとは思っていたけれど、あの瞬間にそれが訪れるとは予想外だった。きれいに驚かされた。質の高いマジックさながらに。