
ユメ
@yumeticmode
2017年10月19日

燃えよ剣 上
司馬遼太郎
かつて読んだ
感想
これまで自分の人生にいちばん影響を与えた本を一冊選ぶならば、『燃えよ剣』かもしれない。それほどまでに司馬遼太郎の書く土方歳三は恰好よかった。今こうして開いてみても、その男ぶりが匂い立つようだ。多摩のバラガキ精神のままひたすらに士道だけを掲げる一種子どものような無邪気さと、切れるような智略に惚れ惚れする。その歳三と並んで好きなのが、沖田総司の描かれ方だ。底抜けに明るく、鬼と呼ばれた歳三のことを怖れず慕うこの若者との、互いに肚のうちをこぼせてしまう間柄が、またいい。この総司にはたしかに仏のような眩しさがある。

