燃えよ剣 上

13件の記録
- ほどぼち@hodobochi2025年3月16日読み終わった新選組を鉄の組織に育てあげた鬼の副長・土方歳三。 正直にいえば、私は土方歳三が苦手である。 国がどうこうとか、思想がどうこうとか、彼には関係ない。彼の頭には「新選組をいかに強くするか」しかない。烏合の衆を束ねるために、どこまでも規律を厳しくし、それに反したものは容赦なく罰する。彼みたいな人が、上司だったら、私は間違いなく会社に行かなくなるだろう。 それなのにどうしてだろうか。土方歳三という人物に、こんなにも惹かれ、こんなにもこの小説にハマるのは。謎である。 それはきっと、彼がどこまでも一本筋が通っているからである。時代が動こうが、人々が変わろうが、関係ない。土方が目指すのは、どこまでも「新選組を強くすること」。その一念なのである。狂気なまでに。けれどもどこまでも無邪気なのである。 悔しいけど、この小説はどこまでも面白い。下巻をはやく読みたい。
- ユメ@yumeticmode2017年10月19日かつて読んだ感想これまで自分の人生にいちばん影響を与えた本を一冊選ぶならば、『燃えよ剣』かもしれない。それほどまでに司馬遼太郎の書く土方歳三は恰好よかった。今こうして開いてみても、その男ぶりが匂い立つようだ。多摩のバラガキ精神のままひたすらに士道だけを掲げる一種子どものような無邪気さと、切れるような智略に惚れ惚れする。その歳三と並んで好きなのが、沖田総司の描かれ方だ。底抜けに明るく、鬼と呼ばれた歳三のことを怖れず慕うこの若者との、互いに肚のうちをこぼせてしまう間柄が、またいい。この総司にはたしかに仏のような眩しさがある。