ユメ "まほろ駅前多田便利軒" 2017年9月9日

ユメ
ユメ
@yumeticmode
2017年9月9日
まほろ駅前多田便利軒
多田も行天も、彼らの奇妙な依頼人たちも、皆まほろでしか生きていけない人間だ。何かを失い、何かを諦め、人生の最果ての地まほろで生きている。孤独な魂が触れ合うことで、絶望の空洞が埋まることはなくとも、ゆっくりと幸福が再生する様が描かれているのが、清らかに心に沁みた。自分が望む形で愛されることはなくても、生きているかぎり自分が誰かを愛するチャンスはある、という多田の言葉に泣きたくなる。どれだけのものを失くしても、決して奪われることのない希望が、人にはある。何度だってやり直せるのだ。人生のどんづまり、まほろで。
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