
かおり
@6kaorin5
2026年1月2日
カフェーの帰り道
嶋津輝
読み終わった
何の前知識もなく
「これは読みたいなぁ。好きな雰囲気漂っている」
という直感だけで購入し読み始めたところで、第174回直木賞候補作だと知る。
だからといってべつだん批評や評論めいたことをするつもりは全くなく。
直感した通り、好きな内容、作品だった。
明治に生まれ、大正から昭和を東京・上野のカフェーで女給として働いた女性たち——百年前のわたしたち——の物語。
行間を読むというか、文章の背後、文字のその向こうを読む、という感覚。変に説明的でなく無駄のない文章が心地いい。
辛く暗い時代を生き抜く彼女達の、清しく漲る強さ。百年前のわたしたち。時代は変われど、確かにそこに わたしたちが、いた。
竹久夢二風の化粧で注目を集めるタイ子、
小説修業が上手くいかず焦るセイ、
嘘つきだが面倒見のいい美登里、そんな彼女を大胆な嘘で驚かせる年上の新米・園子。
そして終戦後に純喫茶となった「西行」で働く幾子。
皆、一癖あるけれど、素敵な女性たち。
個人的にはセイが印象に残った。向井とのやり取りは結末が悲しいさみしいからこその儚い尊さ、おかしみ。かけがえのない時間。タイ子の人生もなかなかどうして。
園子と美登里の嘘から始まる友情らしきものがわりと好きだった。美登里が「奥さん」になるいきさつもどこかに入れてほしかった。
新年一作目に読めて満足な作品だった。





