W7Ed
@4nTeG00N
2026年1月5日
国宝 下 花道篇
吉田修一
読み終わった
借りてきた
原作すごすぎる。読んで良かった。
一筋縄ではいかない人間の心のありよう、何かにとり込まれてしまう喜びと狂気は圧巻。戦後の昭和芸能史でもあり、華やかな世界の舞台裏と人間模様の暴露でもあり、歌舞伎の入門書でもあり、さまざまな側面を持つすごい本だった。
「でございます」という語り口調の文体がいい。歌舞伎の世界観に一気に惹き込まれる。
ところで語り手は誰だろう?と思って読むうちに、それは演目の中のキャラクターや、いにしえの歌舞伎役者たちのゴーストみたいなものかも、と思えてきた。神様とはちょっと違う。魂もなんかちがうのかな。精霊みたいな。そんなのが辺りを漂いながら、歌舞伎座を覗き込んでいる。
そう思って読み続けていると、不思議なことに、時々喜久雄と目が合うような気持ちになる。喜久雄がこちらを見ている。歌舞伎座にいる何かたちを憑依させたがってるように、いや、喜久雄がゴースト側に行きたがってるかのような。
読者であるわたしは、歌舞伎座の精霊たちに手をひかれ、歌舞伎の世界や舞台を案内されながら、喜久雄たちを一緒に眺めていたんだな。
あと、とくちゃんがね、最高。これ、読んだ人しかとくちゃん味わえないのも最高。
