
茅嶋
@_Kayashima_
1900年1月1日
小さき者へ・生れ出づる悩み
有島武郎
子供としては読んでよかったと思う。
---------------------------------------------
「小さき者へ」
子を思う親の心は日の光世より世を照る大きさに似て
私は自分の弱さに力を感じ始めた。私は仕事の出来ない所に仕事を見出した。大胆になれない所に大胆を見出した。鋭敏でない所に鋭敏を見出した。
お前たちの若々しい力は既に下り坂に向おうとする私などに煩わされていてはならない。斃れた親を食い尽して力を貯える獅子の子のように、力強く勇ましく私を振り捨てて人生に乗り出して行くがいい。
よく眠れ。(…)そうして明日は昨日よりも大きく賢くなって、寝床の中から跳り出して来い。
お前たちは私の斃れたところから新しく歩み出さねばならないのだ。
前途は遠い。そして暗い。然し恐れてはならぬ。恐れない者の前に道は開ける。
行け。勇んで。小さき者よ。
「生れ出づる悩み」
人間と云うものは、生きる為めには、厭でも死の側近くまで行かなければならないのだ。謂わば捨身になって、こっちから死に近づいて、死の油断を見すまして、かっぱらいのように生の一片をひったくって逃げて来なければならないのだ。