ユメ "蜜蜂と遠雷" 2026年1月2日

ユメ
ユメ
@yumeticmode
2026年1月2日
蜜蜂と遠雷
『spring』を再読したら、こちらも無性に読み返したくなり、今年最初の一冊に選んだ。 クラシック音楽の曲想を、豊かな自然の情景や壮大な人間ドラマになぞらえた文章表現がとても美しく、初読時と変わらず恍惚としながら読んだ。 本書を読んでいると、自分が音楽をやっていたときの思い出や、演奏してきた旋律、そして音楽に対して抱いた感情の数々が次々と呼び起こされる。それらは決して綺麗なものばかりではなく、時に読み進めるのが苦しくもなる。だが、物語が終盤に差しかかってくると、圧倒的な実感を伴って「音楽って素晴らしい」と思わせてくれるのだ。風間塵という少年の存在が、初めこそ「災厄」ではないかと危惧されながらも、やがて他のコンテスタント・審査員・聴衆に音楽の喜びという「ギフト」をもたらしたのと同様に、この物語も読者の心に「ギフト」として作用する。 オーケストラの中に身を置きながら「音楽とはなぜこんなにも美しいのだろう」と泣きたくなった瞬間のことを思い出した。音楽は時代も国境も越え、奏でる者、そして聴く者の心を掴む。音楽に触れることは、とても刹那的でありながら、同時に永遠性を獲得することでもあるのだ。
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