
洗濯
@eukaryote
2026年1月3日
セカンド・チャンス
アダム・フィリップス,
スティーブン・グリーンブラット,
河合祥一郎
読み終わった
ポストトラウマな状況からポスト-ポストトラウマへ、というのが私の理解する「セカンド・チャンス」であった。
フロイトによれば人間は幼少期に、自分と不可分であったはずの母を喪失する。そのトラウマからの恢復を著者は「セカンドチャンス」と読み替え、精神分析(の必要な状態からの治癒)の過程を同様に読み解いて行く。
前半では、シェイクスピアの劇の読解がなされる。悲劇はセカンドチャンスの獲得の失敗として、喜劇は成功として読み解かれる。喜劇の冒頭にはトラウマがある、として。
ざっくり言うとこんな感じの話なのだろうけど、全ての概念がセカンドチャンスという語に接続されてしまうので話の理解が難しく、訳者も書くようによく整理されてるともいい難い。
しかし、精神分析をシェイクスピアの人生劇に接続した効果として、「やり直しの人生」、人生の苦悩への処方箋になっている。
この本を読むこと自体が治療的ですらあると思う。
しかし何しろ込み入っているので、もう一度読まないと……(理解の難しい事態として本が頭の中に留まることを、著者フィリップスが企図しているのかもしれない。その効果について後書きで示唆されている。そして読者それぞれの読解が生まれることを期待しているのかもしれない)
