ハマダ "別れのワルツ" 2026年1月3日

別れのワルツ
別れのワルツ
ミラン・クンデラ,
西永良成
「…(ヴォードヴィルとは)予期せぬ誇張された偶然の一致を存分に活用することによって、大いに筋を引き立たせる形式です。ラビッシュがそうです。小説のなかではヴォードヴィル的な行き過ぎをもつ筋ほど、疑わしく、滑稽で、時代後れで、悪趣味なものは何もありません。フローベール以来、小説は筋立ての技巧を目立たなくしようと努め、その結果しばしば、どんな陰鬱な人生よりもさらに陰鬱 なものになってしまったのです。しかしながら(・・・・・) 初期においては、ヨーロッパの偉大な小説は ひとつの気晴らしだったのであり、真の小説家ならそれにノスタルジーを抱いているものです。さら に、気晴らしは何ら深刻さを排除するものではありません。『別れのワルツ」のなかの登場人物は、 人間はこの地上で生きるに値するだろうか、〈人間の爪から地球を解放す〉べきではないだろうか、 と自問します。このように問いの極端な重さと形式の極端な軽さとを結び合わせるというのが、私の 年来の野心なのです。しかもそれは、純粋に芸術的な野心ではありません。軽薄な形式と深刻な主題との結合こそ、私たちのドラマ(私たちのベッドで起こるドラマと同様、〈歴史〉の大舞台で私たちが演ずるドラマ)を、その恐るべき無意味さのうちに明らかにするものなのです」
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