みっつー "この地獄を生きるのだ" 2026年1月3日

この地獄を生きるのだ
今日も1日3食、食べました。 職場で同僚と雑談をして楽しかった。 お風呂場は寒かったけれど、お湯に浸かるととても暖かい。 そして布団の中で本を読み、今この文章を書いています。 「今日なにしてたの?」と人から聞かれれば、僕は上記のようなことを質問者に言うと思う。 けれど、実のところ、その項目の間に何千回という思考の迷いがあったかということは相手には伝わらない。 こちらとしても伝える方法がない。 朝ごはんを食べながらなんとなく一日の動きを考える。 同僚と雑談をしながら、家に帰ったらまずはどの作業から優先して進めるかを考えてしまったりしている。 お風呂に入っている間、電子書籍で本を読むか、YouTubeで動画を見るか激しく悩む(最近はお風呂か寝る前くらいしかゆっくり動画の視聴が出来なくなっている)。 本を読んでいると今日同僚と喋った中で「あの発言は良くなかったかもなぁ」とか「SNSで炎上してたあの人大丈夫かなぁ…」などの思考がチラついて来て集中できなくなったりする。 人は1日に3万5000回も選択・決断をするらしい。 えー、絶対してないよ。 と、つい最近まで思っていたのだけれど、本を読むようになってから、あとはYouTubeで動画をストックするという計算をするようになってからは、日常のうちに考えている時間というのがやたらと増えたような気がする。 今、これを書いている瞬間もそうかもしれない。 この文章は違う、この漢字これで合ってたか一回ネットで調べよう、こういう時の言い方もネットで調べよう、鼻を掻こう、頭を掻こう、一旦Xを見よう。 気が散りすぎである。 人は想像以上にめちゃくちゃ頭を使って生活している。 人付き合いでも、買い物でも、趣味でも、なんでもなんでも、考える、選択して、決断している。 でも、それらを普通に出来るって凄いことなんだと思うんですよ。 自由に“選択”出来るって、幸せなことなんだと思うんですよ。 小林エリコさんの『この地獄を生きるのだ』という本を読んだ。 この本は著者である小林エリコさんの自伝的ノンフィクション作品であり、彼女が短大卒業後に成年漫画雑誌(エロ漫画雑誌)の編集職に着くも、仕事の忙しさや日々の虚しさに静かに絶望していき、薬を過剰摂取して自殺を図るところから始まる。 そして、そこから社会復帰を果たすまでのお話だ。 ここまで書いてなんてヘビーなんだ、と思った。 しかし、読後の俺はとても晴れやかだ。 舐めないで欲しい(?) その後も何度も自殺を図ったり、生活保護を受けては恥ずかしい思いに駆られたり、デイケアに通っては施設への不安やスタッフとの不和を感じたり、新薬の宣伝のために統合失調症と勝手に診断されたりする。 晴れやかな要素皆無じゃねぇか。 ふざけるな。 しかし、ある日、彼女に転機がやってくるのだ。 職が見つかり、辱めを受けている気分にさせられている“生活保護”から抜け出すために必死に働くこととなる。 そこでのお仕事も、先に書いた成年漫画雑誌の編集と同じくらい忙しそうだったけれど、一度、底を感じた人間はとても強い。 この本を読むと、生活保護を受けている人への印象がガラッと変わる。 と言っても、もともと僕自身そこまでそういった保護を受けている方への印象を持ったことはあまり無かったのだけれど、ネット的に言えば「我々の税金で飯を食っている人」みたいな事だろう。 僕もそう言ったイメージがまず最初にやってくる。 まぁ、税金は当たり前にバンバカ引かれていくものなので、生活保護を受けている方がどうのこうのとは考えたことがなかった。 生活保護を受けるということは、それなりに、どころか、なにかしら、かなりの、退っ引きならない、事情がある。 それこそ、彼女のように恥ずかしいという思いをしながらも復活するための足掛かりとして利用する人もいれば、やっぱりパチンコなどに使ってしまうような人もいるらしい。 けれど、それでも現物支給ではなく、現金支給である必要があると小林さんは言っている。 お金に触れる機会を失えば、お金を使う技術が失われていく。 小林エリコ『この地獄を生きるのだ』p.133 この言葉は正直、めちゃくちゃ効いた。 お金を使うということも技術なんだ、と。 当たり前のことなんだけれど、僕は結構浪費家なのだ。 ギャンブルはやらないけれど、好きな作品の一番くじとかは絶対にやりたくなってしまう。 僕は、一番くじはこの世で最も悪どい人間が運営していると思っている(120%自分が悪いに決まっている)。 ここ1ヶ月、本を買いまくっていても思う。 人は満足いくまで物を買おうとすると一瞬で破産する。 だから、しっかりと吟味する。 買う前に考える。 これは本当に必要な物なのか、別の日まで持ち込んだり、セールを待ったりすれば良いのではないか? そうして考え抜いて選んだ物は、自分の血肉となって、吸収される。気がする。 生きるためにお金は必須だ。 けれど、上手に生きるためには、お金の使い方も学ぶ必要がある。 生活保護者に対して、冷たい声が多いイメージがあるけれど、日本では常に、再挑戦のチャンスが与えられている。 本著の言葉をお借りして“弱者”という言葉を使わせてもらうけど、弱者について知るということは、より良い社会を作る上でとても大切なことだと思う。 弱者に配慮できない人間がいる職場というのは相当にしんどい。 そしてその人たちは知らない。 自分も歳をとって、いつか自分が弱者になるということをまだ知らない。 知らないから、人は調子に乗る。 自分のことを棚に上げて、自分よりも弱い人間を虐げる。 理想論かもしれないけれど、一人一人の考え方を変えていけば、みんなが幸せを感じることができる社会を作ることが出来るかもしれない。 赤裸々に綴られた小林エリコさんの言葉を胸に、明日からも頑張ろうと感じた。 重たいテーマだけれど、もっと生きたいと思わせてくれる読書体験でした。 普通を選択できるということのありがたさを感じて、誰かにその選択肢を作れるような活動を続けたい。 いま一人で思い悩んでいるあなたに送りたい本だと、僕は思いました。
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