at19990 "虚弱に生きる" 2026年1月4日

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@at19990
2026年1月4日
虚弱に生きる
虚弱に生きる
絶対に終電を逃さない女
(少なくとも周囲の人と比較して)体力のなさと体調の悪さに日々悩まされ続けている人間として、同じようなことを感じる人が他にもいるんだ…という共感の連続だった。 「フィクションでもノンフィクションでも SNSでも友人の話でも、何かにつけて『体力あるなあ』という感想を真っ先に抱いてしまう。(p.40)」 「人から見たら滑稽なほど浅瀬だとしても、それが確かに私の限界なのだ。 体力の限界というのはきっと、想像を絶するほどの個人差があるのだろう。(p.61)」 「体力をつけるための体力がない状態だったからである。(p.145)」 このあたりは本当にあまりにも首肯できるところ。私も、残業で終電を逃しながら翌朝早く起きてまた職場に来られる人や、仕事の後や休日も頻繁に飲み会やスポーツに勤しむ人を見て、この人たちの体力は一体どうなってるんだろうか…と恐れ慄くことは少なくなかった。 一方自分は、休日は丸一日寝ないと回復できないし、遅く帰った次の日に朝イチで仕事に行くのは無理。人と連絡をとれるエネルギーも残っていないし、体調は常に悪い。周囲の人の雑談で飛び出すエピソードに心底世の中は「体力ゲー」だなと思ってしまうのはおかしいのか…と思っていたから少しほっとした。 だからこそ筆者の経験した、「虚弱」でありながら、自炊や運動を通して「自分の体が、自分のものだと思える」感覚を手に入れ、健康であることに幸福を見出せるようになるという過程は救いを感じられるものであったように思う。 軽妙な筆致で、エッセイとして興味深くするすると読める一方で、社会保障などの様々な問題に関する鋭いまなざしも随所に感じられ、充実した内容だった。
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