
まつこ
@matsuko--Books
2026年1月4日
気流の鳴る音
真木悠介
読んでる
芭蕉は松島をめざして旅立つ。「奥の細道」の数々の名句をのこした四十日余の旅ののち松島に着く。しかし松島では一句をも残していない。「窓をひらき二階をつくりて、風雲の中に旅寐する」一夜を明かすのみで、翌日はもう石巻に発っている。松島はただ芭蕉の旅に方向を与えただけだ。芭蕉の旅の意味は「目的地」に外在するのではなく、奥の細道そのものに内在していた。松島がもしうつくしくなかったとしても、あるいは松島にたどりつくまえに病にたおれたとしても、芭蕉は残念に思うだろうが、それまでの旅を空虚だったとは思わないだろう。旅はそれ自体として充実していたからだ。(P.145)


