伊藤裕満 "平和と愚かさ" 2026年1月3日

平和と愚かさ
全編通して面白く、引き込まれた。 特に「悪の愚かさについて」はページを手繰る手が止まらず、他にも「顔と虐殺」「おわりに」と素晴らしい文章の連続だった。柴崎友香さんの『帰れない探偵』を読み終えたばかりで、探偵小説の件りが出てきた偶然には驚いた。特に記憶に残った箇所は、「探偵小説は20世紀の現実の反映」、「大量死(虐殺)=大量生(団地)と虚構」や、悪の愚かさを愚かなまま記憶する難しさ、そのヒントに『ねじまき鳥クロニクル』の井戸を引いてくる流れは素晴らしいし、デュピュイの「過去が未来を決定し、未来が過去を決定している」という時間感覚の件り、「『顧客担当』(『啓蒙』の実践者)として…独自の役割を果たすことが…現代の哲学者の…ミッションだ」の件りなども、感銘を受けた。まさにこの本が啓蒙の実践となっている。
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