
汐入
@yogishaninotte
2026年1月4日
厨房から見たロシア
ヴィトルト・シャブウォフスキ,
芝田文乃
読み終わった
イギリスのどんな小さな街ですら中国人の中華料理屋が存在する、という話を聞いたことがある。つまり食の需要は普遍的なもので、それは数千万人を死に追いやった独裁者にとってであれ、人類初の有人宇宙飛行を成し遂げた人にとってであれ、食は生の喜びなのだ。人間の三大欲求のうち、睡眠よりは社会的で性行為よりは個人的な営為である食事抜きに生きられる人は誰もいない。
そして一食の食事の背後にはそれを作った人がいる。この料理人たちの視点でロシア帝国崩壊から現代ロシアのウクライナ侵攻のざっと百年のパースペクティブを捉えたのが本書だ。
この本では料理という一点を基点に権力者とそれによって弾圧を受けた人々を行ったり来たりするのだが、逆説的に料理なら両者を対置できるくらい食事の力を感じた。読みやすいうえに面白いので、いろんな人に読まれて欲しい。

