
あ
@7DA852
2026年1月5日
正欲
朝井リョウ
読み終わった
感想
あってはならない感情なんて、この世にない。
それはつまり、いてはいけない人間なんて、この世にいないということだ。
息子が不登校になった検事・啓喜。
初めての恋に気づいた女子大生・八重子。
ひとつの秘密を抱える契約社員・夏月。
ある人物の事故死をきっかけに、それぞれの人生が重なり合う。
しかしその繋がりは、"多様性を尊重する時代"にとって、
ひどく不都合なものだった――。
「自分が想像できる"多様性"だけ礼賛して、秩序整えた気になって、
そりゃ気持ちいいよな」
これは共感を呼ぶ傑作か?
目を背けたくなる問題作か?
作家生活10周年記念作品・黒版。
あなたの想像力の外側を行く、気迫の書下ろし長篇。
2025年から2026年の冬季休暇で読んだ1冊。
読み納めであり、読み初め。
正直、初めはつまらない、分からないと思った。途中で読むのをやめようとも思ったし、いくらで売れるかななんてことも考えた。だけど、私はきっとこの本を手放したとしても、忘れられないと思う。
自分にとって「正しさ」「正しい」とは何か。
「『欲』を満たす」とは何か。
「明日死なないこと」とは何か。
とても考えさせられる内容だった。
そして、私はそれらに直面した時、逃げ出したくなった。実際に、逃げた。考えるのをやめた。
だけど、『読む前の自分には戻れない。』
私は、食に興味がない。けれども、お腹は空くし、どうせ食べるのなら美味しいものを食べたい。これも、『欲』だ。食欲と認識していなかったことにも、意識が向くようになった。そこから繋がる食費だとか、用意をする手間暇だとか、今まではあまり考えていなかったことに、悩まされ始めている。
見て見ぬふりをしていたものに、向き合わなければいけない時が来た。私は大也のように、放っておいて欲しいと思う人間だ。でも、同時に、心のどこかでは「繋がり」が欲しいとも思うし、探している。通常のレールから外れて、異常者として生きる今が、心地良くて、心地悪くてたまらない。
この本に出会ってしまった以上、読んでしまった以上、私はこれからどう向き合って生きていくべきなのだろうか。分からない。だから、私も、『繋がり』が欲しいと、また思ってしまった。



