春束💐 "望月の烏" 2026年1月6日

春束💐
春束💐
@harutaba
2026年1月6日
望月の烏
望月の烏
阿部智里
シリーズ一巻目でどんでん返しに驚き、その後単行本が出ると必ず買ってきた。勁草院の巻が特に好きだったが、今はやや過大評価だったかと思い始めている。 キャラクターの描写は良いし、初期はかなり期待していたので、それが続かなかったかという感想。ただ、ここまでの長編ファンタジーを書き上げている時点で作者の才能と努力は言うべくもない。 ジェンダー学的批評をすると、まず異性愛規範がかなり強い。短編で少し女→女が出てくるが、それに対する本書のまなざしが今までよく見てきた類のもの。異常な行動の動機とセット(動機を恋情にすることで納得させる&意外性)という出し方で、少なくとも肯定的な書き方はされていない。 フェミニズム的要素があり、性別役割分業についてもこれから抵抗が実る展開が来るのだろうが、その論理展開にあまり期待ができない。また、セックスワークイズワークのテーマが論じられているが、かなり一方的と感じられた。また、当事者にとって幸福か欺瞞かという論点のみで、売春が女性の性的客体化を促進するという点の論がない。 全体的に社会構造の話をしようとしているが、論理展開に隙があるという印象。これからの展開を注視したい。
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