"瓦礫の中から言葉を" 2023年3月11日

慎
@sin_gt91
2023年3月11日
瓦礫の中から言葉を
自分が生きてきた中で東日本大震災だけに限らず、大小様々な自然災害が起こっている。 そんな中でも東日本大震災のことを知ろうとしている自分がいて、これまで何冊も関連する書籍を読んできた。 それは何故なのか、何となくは「こういうことなんだろうな」という感覚はあるが言語化はなかなかできなかった。 この本を読み、当時の、誰もが自由に発言できるはずなのに見えない何かに統制されたようなあのムードを思い出した。 まるで「不謹慎」という言葉を向ける先を探しているかのようにも見える、お互いに名前も顔も知らない誰かに監視され続けているようなあのムードを。 2011年3月11日の翌日に大阪でライブをした。 まだ何が正しい状況なのかも分からず混乱した状況での自分たちの主催イベント。 その日ライブが行われることをどこで知ったのか、「ライブで使う電力が云々」とイベント中止を要求(強要)するようなメッセージがブログに届いたことも覚えている。 結局あのライブは誰かに迷惑をかけたのだろうか。誰かを傷付けたのだろうか。 誰かに希望を与えられたのだろうか。 予定されていたことが予定通り行われる「日常」のひとつとして捉えてよかったのだろうか。 2011年3月11日から数ヶ月も経たないうちに仙台にライブをしに行った。 仙台市内に滞在していて時間の余裕も少しあったので、沿岸部を見に行こうかと思ったけれど結局行かなかった。 何もできない自分が野次馬みたいにそこに行ったら邪魔になるかもという思いや、行ったところでその光景を受け入れられるのかという思いがあったような気がする。 今になって考えると、その光景と対峙することに怖気づいてしまっていただけかもしれない。 受け入れる必要もないし、最初から受け入れられるはずもないことは分かっていたはずなのに。 今となってはとても後悔している。 遠く離れた場所で生活している自分が、被災地の空気、色、音、匂いを直接感じて自分の人生に刻むことのできる機会があったのに。 実際に被災されたファンの方から手紙やメッセージを頂き、「誰も」の為にはなれないが「誰か」の為にはなっている自分の存在を少し認めることができた。 この2つが主にずっと心の中に残っていてずっと何か引っかかっているような感覚が続いている。 そう考えると、「テレビで見た」「インターネットで見た」だけではない何かが東日本大震災と自分の間にはあるのだと思う。 多からずとも当事者意識のような何かが。 例えば阪神・淡路大震災の時は自分はまだ小学生。 父親が、タンスが倒れてこないように押さえてくれていたことは覚えているが同じ関西とはいえ滋賀県に住んでいた自分の日常はその後もいつも通りだった。 西宮から引っ越してきたという転校生がやってきたが、なぜ引っ越してきたのかなんて知らないし聞かないし、ただ友だちが1人増えただけだった。 リアルタイムで自らそれに関して多少なりとも翻弄され、知ろうとし、調べ、考え、色んな意見を見てきたのが東日本大震災だったのである。 だから、どんな出来事だったのか、何があったのか、今はどうなっているのか、他者はどう考えるのか、まだまだ知ろうとしているのかもしれない。 誤解を恐れずに言えば「野次馬根性」であり好奇心から来るものかもしれないが、過去を知るには過去を語る者に耳を傾けるしかないのである。 だからこそ、「不謹慎」という矛を恐れた言葉や見えない統制に服した言葉では駄目なのだ。 綺麗にコーティングされたその場しのぎの言葉だけでは駄目なのだ。 美談や感動のストーリーの後にもまだまだ人生は続いている。 正直なところ、2回読んだが表現や思想が自分には難しく筆者の伝えたいことの全ては理解できていないと思う。 ただ、自分が漠然と感じていたことに輪郭をつけてもらえたような感覚はある。 冒頭の「死者にことばをあてがえ」という詩に全てが込められているのだろうか。 震災後も自分自身に身勝手な役割を課した人が身勝手な正義と身勝手な言葉で身勝手に"違う"と判断した他者を身勝手に非難・批判している場面は減っていない。 むしろ増えているように感じる。 それは時代の変化からすれば当然なのかもしれないし、新型コロナウイルスがもたらした新たな混乱も大いに関係するだろう。 混乱が起こる度に新たな変化が生まれ、いつの間にかスタンダードへと成り代わっている。 そのスタンダードへの過程の中にその混乱がもたらしたものの本質が潜んでいるかもしれない。 防災意識とか災害への備えとかそういったものとはまた別の、自分でしかどうしようもない感情が東日本大震災にはあり、それと付き合っていくためにもこれからも知ろうとするのだろう。 これを誰かに伝えたかったという訳ではないが、あれから12年経った今の頭の中を残しておこうと思う。
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