つのぶえ
@shofar
2026年1月6日
殺人出産
村田沙耶香
読み終わった
落ち着かない気分になる。文学作品の最後になぜ解説という読了感を壊してかねないものが載っているのがずっと疑問に思っていたが、こういう気分を鎮めて距離を取るために使えていたのではないかと思った。つまり、解説もなく、あっさりとした死で終わるこの作品と、まだ距離を取れずにソワソワしている。
殺人や性行為、出産、死のもつ、グロテスクな部分を、社会が綺麗にしようとすることで、かえってそのグロテスクさに思いを馳せることになるよう。
今の社会が持つ普通というものが、実はもっと相対的で、移り変わるものであるということが描かれているようにも思うが、果たして本当にそうなのか。
本当はもっと絶対的なものがあって、その絶対的なものを見失ったが故に、全てが相対化されて、移り変わり、やがて消えていくような今の社会になったのかもしれないと思ってしまう。
しかし、もっと清らかなものがあるのではないかという願いすらも、この作品の中では、従姉妹のミサキちゃんの純朴な祈りによって、否定されているのかもしれない。



