
ちくわ
@stuntman-kent
2025年12月31日
推し、燃ゆ
宇佐見りん
読み終わった
同じCDを130枚買ったことのある私が言うのも説得力に欠けるけど、ここまでの情念を推しに注ぐ本作の主人公あかりにはあまり共感できなかった。かといって推しを「背骨」や「業」と形容する程の彼女を、依存だとか頑張ってないなどバッサリ切り捨てることもできない。自分にとって推しとは、つまらない人生を少しだけ彩ってくれる恋愛感情とは似て異なる憧れの存在であり、あかりにとってはそれがより切実なだけなんじゃなかろうか。
読んで真っ先に浮かんだのが『MAD MAX 怒りのデスロード』に出てくるウォーボーイズのニュークス君。ボスのイモータン・ジョーを崇拝し、ボスに命を捧げる自分に酔いしれている自己愛強めの困ったちゃん。劇中で彼は人との助け合いを通じて女性に恋をし、終盤自分のためではなく彼女のために命を投げ捨てる姿に、当時ギラギラしたオタクだった私は、いつか訪れるであろうオタクの終わりの美学を見出した。
本編の終わりも、あかりの今後の人生は余生ではない、希望の灯が灯っているように私は捉えた。アイドルとオタクのような一方通行の関係性ではない、対等で尊重し合える存在がいつかあかりの背骨に突き刺さるのではないだろうか。

