
カミーノアン
@kaminoan3699
2025年12月21日

読み終わった
強く印象に残ったのは、「楽しかったですか?」という一言だ。成果や正しさではなく、当人の感情だけを問うこの言葉は、作品全体を貫く問いのように響く。
澄香が大学で推し活のグループチャットに夢中になっている場面も忘れがたい。背後ではゼミ生がメガチャーチ型ビジネスについて語っているが、その声は澄香には届いていない。批評される対象の内側にいながら、その議論とすれ違っている構図が、この物語の残酷さを端的に示している。
朝井リョウの文章は小説でありながら映像的で、場面の切り替えや章の終わり方が次を読ませる推進力を持っている。こうした語りのリズム自体が、登場人物たちが物語に巻き込まれていく感覚と重なっているようにも思えた。
私たちは何かに夢中になるとき、ただ楽しさに身を委ねてはいないか?本作はその居心地の悪さを、静かに突きつける。



