gato "ブエノスアイレス食堂" 2026年1月7日

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@wonderword
2026年1月7日
ブエノスアイレス食堂
ブエノスアイレス食堂
カルロス・バルマセーダ,
柳原孝敦
カニバリズムを扱った作品ってたびたび話題になるけど、この小説のことは聞いたことがなかったなぁ。最近図書館で南米棚をうろうろしているので、偶然見つけた一冊。 生後7ヶ月にして母の乳房に齧りつき、そのまま死んだ母の肉を喰らって生き延びた赤子のお話から始まるのだが、そこからすぐに時が約百年遡り、イタリア人の船乗り兄弟がアルゼンチンに移住する場面へ移る。この兄弟が開いた「ブエノスアイレス食堂」はやがて死骸と赤子の発見現場になるのだが、前半部ではそこに至るまでのレストランの百年史をユーモラスに描く。語り手は代々のシェフ一家に暖かい目線を向け、シンパシーを寄せているが、戦争と軍事独裁に翻弄されて人びとはあっけなく死んでいく。その落差がよかった。 冒頭の赤子が生まれると歴史は彼の物語に収斂していくのだが、ここで小説のジャンルが変わる。ノワールっていうわりにみんないい人だなぁと思っていたら、終盤だけいきなりサイコパス犯罪小説になる。この切り替え自体は斬新で面白かったけど、犯罪モノとしては杜撰なハンニバル・レクターでしかないので若干飽きてしまった。でも心理描写をしない作風なので、作中では愛に飢えて云々とかエディプス・コンプレックスが云々とかの分析を聞かされないのはよかった。
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