はに "マリエ" 2026年1月8日

はに
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@828282chan
2026年1月8日
マリエ
マリエ
千早茜
この作者の作品を読むのはこれが初めて。何かにつけて偏愛傾向のある私は、馴染みの作家の本ばかり手に取ってしまいがちなのだけど、書店でたまたま目に入った帯のコピーがどうしても気になって、珍しく衝動買いしてしまった。 帯に書かれたコピーは“恋愛がしたいと、夫は言った。降って湧いた離婚という言葉はまりえの日常を、大きく変えた。”というものだった。身バレしたくないので詳しくは書けないけれど、なんというか、私にとってとてもタイムリーなテーマだった。恋愛と結婚と離婚、子どもを授かるタイムリミット、孤独死、みたいな問題について、自分の思考を広げたい。ちょうどそんなタイミングだった。 離婚の決断につきまとう恐怖のひとつは、将来の孤独だと思う。孤独の果てにある孤独死は、さらに怖い。 「離婚をのもうと決めたとき、まっさきに頭をよぎったのが孤独死だった。この先、誰かと生きていく想像ができなかったから、きっとひとりで死ぬことになるのだろうと思った。(p.41-42)」 本当にそう思うよね、と、主人公のまりえに共感していたのだけど、読み進めていくうち、まりえは普通に人モテするタイプで、この人孤独死なんてしなさそうじゃん、と思った。そして、うっすら人間嫌いの私とは違うタイプだなあと、勝手にちょっと裏切られた気分になった。 まりえは、なんやかんや社交的で、人と接することに対するフットワークが軽い。電話やLINEや手紙や対面で、人とやり取りをするシーンがマメにある。連絡不精の私とは大違いだ。 それに、まりえはとにかく暮らしぶりが丁寧で、生活力とか女子力とか、そういった能力が人並み以上にあるようだった。年下のイケてる男子を急に部屋に招き入れることに躊躇いがないし、そのうえ、一捻りあるいい感じの料理をありものでパパッと作って出せる。もう、そんな人、モテないわけがない。それに引き換え私は、散らかった部屋を片づけもせず、自炊もサボって賞味期限切れの調味料をいくつも冷蔵庫に放置しているような人間である。何の魅力もないくせに、毎夜、将来の孤独に漠然と怯えている。本当に情けない。まりえを見習おう。 「私の幸も不幸も、私が決める。そう、決めた。(p.34)」 本当にそうだ。 ところで。ガーダスープとか葱花餅とか肉餅とか、登場する料理が物珍しくて、ぜんぶ美味しそう。温度を感じる料理の描写が魅力的だ。 巻末の、金原ひとみとの対談エッセイの「離婚は幸せになるための選択肢のひとつ」という話もよかった。私の人生のなかで離婚というものを経験するかしないかはまだわからないけれど、ネガティブな決断でしかないと思っていたものについて、幸せになるための選択肢という考え方は、明るくていいなと思った。
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