みーる
@Lt0616pv
2026年1月8日
ありか
瀬尾まいこ
読み終わった
借りてきた
大きな起伏がない展開だからこそ、小さな感情の揺れ動きが丁寧に描かれている作品だった。
親になって初めて自分の子ども時代の感情に気づく美空を見ていると、親になることは自分も知らない自分を知ることでもあるのかなと思った。まだ、親にはなってないけれど、もしひかりのような子どもがいたら毎日が幸せだろうなと思う。一方で、美空の親のように子どもを愛しきれない親になるかもしれないと漠然とした不安を抱えていることにも気づかされた。
美空の親が毒親かと言われれば、微妙なところだと思う。お金を工面するよう言うところはどうかと思うが、経済的に苦しい中、美空のためを思う行動が随所に描かれていたし、美空もそのことに気づいていた。物語終盤の「大人になるまで育ててくれてありがとう」という美空のセリフは残酷さを孕んでいるように思えた。親として何が正解なのか。大人になるまで育てること以上の何かを育てる上で与えないといけないのか。美空の親こそ本当に苦しかったと思う。子どもを愛してはいるが愛しきれない中で美空を大人になるまで育てた。「誰が育てたと思っているの」と言ってしまうのもわかる気がする。父親はいなく女手ひとつで美空を育てた。いろんなことを犠牲にしたと思う。投げ出さなかったと思う。それでも、どこか物悲しく描かれるラスト。改心して謝ったり仲直りしたりはしない。美空の親に1番感情移入できた。美空はひかりを心の底から愛せる人間。読んでいると誰しもが美空のように子どもを愛せるはずと思ってしまう。だけど、すべての親が子どもを好きになれるとは限らない。自分が親になったとき、どういう感情になるのだろうか。
「ひかりが大人になったとき何かしてもらうために育てるわけではない」と美空が言っていた。今の前にひかりがいてその成長を見届けたい一心。そんなふうに思うことができれば素敵だな。
ひかりが手術する場面。美空の心情を慮ると心が苦しくなった。小4のときてんかん発作で倒れた日。もう元には戻らないかもしれないと医者に言われた母の気持ちはどんなものだったのだろう。しばしば、母のことを心配性と言っていたが、今はその気持ちがわかる。親になれば、子どもが少し怪我をしたり病気さたりするだけで自分も過剰に心配してしまうだろう。もう会えない母親の気持ちを考えされられた。
正月に結菜ちゃんと1日を過ごした。ひかりと同い年。架空の話もできて、何よりしっかりと大人と話すことができる。出会ったときはもっと幼かった。「子育てにゴールはあるよね」と三池さんが言っていた。ほんとうにあっという間だ。だから子どもの成長を見守ることに時間を割きたいし丁寧でありたい。
颯斗や三池さん、パートの先輩、ひかり、美空。たくさんの人が温かく優しく描かれている。今後、自分の状況によってより染みるかもしれない作品であった。