
shiori
@shiori_417
2026年1月8日
人質の朗読会
小川洋子(小説家)
読み終わった
ついに読み終わってしまった。とても良かった…
地球の裏側の国で、反政府ゲリラに拉致された人質8名。彼らの「朗読会」のテープを文章に起こした、という体の物語が短編として綴られる。
それぞれの短編が、やさしさと、さみしさと、少しの不思議さと、読後に残る仄明るさを持っている。
しかしこれを語る彼らがこの後たどる運命を思うと、胸がぎゅっと苦しくなる。
最初に彼らの末路を明かす、構成の巧みさによる効果。
そして最後に、彼らの声を聞き続けた特殊部隊通信班の隊員の物語を付け加えることで、日本人の国民性や日本語の特異性を浮き彫りにすると同時に、国を超えて通じ合う、人間の普遍的な敬意や思いやりにも触れていると思った。
今も世の中には、ニュースでしか知らない事件や、ともすれば画面の向こうで起きているように感じる戦争や紛争がある。
しかしそこには、この人質たちのように、たくさんのかけがえのない物語を抱えた人たちの命がある。
そのことにも想いを馳せた。
