あんどん書房 "BOXBOXBOXBOX" 2026年1月4日

BOXBOXBOXBOX
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坂本湾
宅配荷物をトラックに積み込みする物流倉庫「宅配所」。午前中は向かい側のレーンも見えなくなるほど深い霧が入り込んでくるこの場所で働く四人の視点から描かれる作品。 単純作業の退屈を紛らわすために「箱の中身を想像する」という遊びをしていたが、ある出来事を境に盗みの快楽に溺れてしまう安。妻の入院費を稼ぐために働くものの、介護のストレスから仕事中に飲むほど酒に溺れてしまう斎藤。派遣の仕事を切られ、次への繋ぎの間だけと働くが、初日からレーンを蹴飛ばすほど仕事が嫌になっている稲森。盗品や破損など不始末の尻拭いやさまざまな雑務を押し付けられ、頭痛が止まらない契約社員の神代。 これは令和のプロレタリア文学。 レーンの一部となって人間らしさを剥奪される人々。彼ら彼女らはそれぞれ何らかの方法で抵抗を試みているのだが(間接的に描かれる技能実習生たちのストライキなども)、何か不気味で巨大な、霧に包まれる宅配所という存在の中で有耶無耶にされていってしまう。 最終的にはそれぞれ四人が向かう未来が描かれていて、そこは一瞬希望を持てるものの、根本的にはなにも解決してないよねというところ。そりゃまあ、この物流を要求する社会の側の問題なのだから、そんな簡単に変わらないだろう。 「鳩」たちはそんなアホらしい人間たちに対する自然の象徴なのかなぁと思った。 本文書体:イワタ明朝体オールド 装画:杉野ギーノス 装丁:川名潤
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