虚月はる "華氏451度〔新訳版〕" 2026年1月10日

華氏451度〔新訳版〕
華氏451度〔新訳版〕
レイ・ブラッドベリ,
伊藤典夫,
小野田和子
書物の所持が禁じられた世界。過去の本を発見次第それらを燃やす“昇火士”の仕事をしている主人公は、ある少女との出会いをきっかけに、己の生き方、本を燃やすという行為に疑問を抱いていく。 ⚠️以下、ネタバレありの感想⚠️ 昇火士たちに本を燃やされる前に自ら火をつけて、本とともに焼死することを選んだ老女のシーンが呪いみたいに頭に焼き付いて離れない。 読んでいてかなり辛いシーンだった。 私は本が大好きだし、もしもこの先の未来で本が忌むべきものとされたら反逆したくなるだろうけど、彼女と同じような局面に立たされたら、彼女と同じ選択ができるだろうか? できない気がする。逆らうのが怖くて、ただ呆然と大好きだった本たちが燃やされていくのを見ている。そして、臆病な自分に対する自己嫌悪が日々募っていく人生を送る。そんな姿しか想像できない。 彼女の選択が愚かに見える人もいるかもしれないけど、私にとってはすごく眩しかった。 ベイティー隊長もなかなか良いキャラしてて、これまでどんな人生を歩んできたのかとか色々想像が膨らんでしまう……! 「必要だったから何冊か本を読んだことがある」みたいなこと言ってたけど、そんなレベルではなさそうな知識量。かつては本を愛していた人間なのでは? そう思って序盤から読み返すと、彼の最後のシーンで胸が詰まる。 「ぼくらは一度だって、正しい理由でものを燃やしたことはなかった……」という一文もかなり印象に残っている。 序盤では自分の仕事に誇りを持っていたモンターグの口から、まったく真逆の考えの言葉が出てきたのだから……。 逆に、焚書に限らず「燃やすことが絶対的に正しい場合」って存在するのだろうか? 火葬だって国や信仰する宗教によっては罪深いものとされるのに? と考え出して、よく分からない思考のループに入り、果てしない気持ちになったりもした。 全体的にすごく好みの作品だったので、時間を置いてまた読みたい。読んでて苦しい・悲しい部分も多いけど。 恥ずかしながら作中で引用されている作品たちは半分も知らなかったので、気になったものだけでも読んでみたい。
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved