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@bunkobonsuki
2026年1月10日
きりぎりす改版
太宰治
太宰治が中期に書いた作品群をまとめた文庫本『きりぎりす』。
この作品群を通して、太宰は『晩年』の振り返りと批評を行っているのではないか。
二人の作家が手紙で交流する作品「風の便り」では、こんな文章が出てくる。
「君には未だ、君自身の印象というものが無いようにさえ見える。それでは、いつまで経っても何一つ正確に描写する事が出来ない筈です。」
この一文は『晩年』に対する太宰の自己批評にも思えてくる。『晩年』の文体は、常識的な文章であった。それを自覚した太宰は文体の確立のため、さまざまな実験を試みた。
それが、「きりぎりす」をはじめとした作品群なのだと思う。

